標準船

標準船について

貨物船の標準型を設定することは造船資材及各種船用品の種類を単純化し其の供給を容易にし、船舶の急速且大量生産に便益が多く、従って造船原価を低廉にすることができ、戦時一定の期間に於て船舶の急需に応じるには最も適当な方策です。更に軍用としては多数同型船を使役する便益は大きなものです。昭和11年頃より欧州及北支において戦雲が急を告げると船腹急需の形勢が生じ、社團法人船舶改善協會が標準船型選定の計画を立てることになりました。昭和14年4月に至りA〜Fの六種の不定期貨物船の基本計画が完成し、同月6日に逓信省標準船型選定協議會にて承認を得、同時に爾後官民協力してこの標準船船型に依る船舶の建造を促進すべき旨も併せて決定されました(社團法人船舶改善協會事業史より)。のちH(中型不定期貨物船)とL(大型高速定期貨物船)も計画されましたが、開戦に伴い、いずれも中止されました。戰時標準船に対して俗に平時標準船と言われているのが、この逓信省標準船型選定協議會にて承認を得た標準船です。ここでは「昭和造船史」の「附表 大正13年〜昭和20年(終戦まで)1,000GT以上進水船舶要目表」を基礎資料として各造船所社史、戦後各造船所が米軍に提出したレポートから逓信省標準船の寸法に概ね合致するものを取り上げました。戦局の進展に伴い、標準船は順次、戰時標準船に変更されて建造されたようですが詳細については今後の調査が待たれます。また附録として戰時標準船のタイプシップとなった鉱石船、油槽船及長尺物運搬船も取り上げました。

標準船の諸元

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標準船各型

下の各船型の画像をクリックして下さい。

中止
(過半設計終了)

中止
(基礎設計中)


【附録】 -->

礦石船

油槽船

長尺物運搬船

 

写真の出典:

  1. A型(日春丸):雑誌「船の科学」2001年08月号(船舶技術協会)「日本商船隊の懐古 No.265」山田早苗
  2. B型(建部丸):「商船が語る太平洋戦争」 野間恒
  3. C型(正島丸)、E型(久津丸):(撮影者)木下卯八、(所蔵)小樽市博物館
  4. D型(鎭西丸): 「石川島技報」 石川島技報編輯部
  5. F型(~祐丸)、礦石船(鵬南丸)、油槽船(ぱれんばん丸): 雑誌「海運」日本海運集会所出版部
  6. 長尺物運搬船(住吉丸):「船舶百年史前篇」(有明書房)上野喜一郎

 

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