状況変わらず。第一海上護衛隊の戦時日誌はあと2ヶ月分を残すのみ。
【マタ30船団】
護衛艦5隻: 驅逐艦 春風、同 竹、同 呉竹、特務艦 鞍埼、第二十號驅潜艇 船団12隻: 1.臨時配當船 K龍丸、 2.陸軍油槽船 菊水丸、 3.一般徴傭船 凌風丸、 4.陸軍配當船 信貴山丸、 5.一般徴傭船 大天丸、 6.一般徴傭船 營口丸、 7.陸軍輸送船 第一眞盛丸、8.臨時配當船 阿里山丸、9.陸軍配當船 天晨丸、 10. 特設運送船 第三東洋丸 11.強力曳船 映海丸、 12.特設運送船 君川丸
【船団の構成】
「戦時輸送船団史」によればマタ30船団の構成は上記のとおり。
第一海上護衛隊の戦時日誌では護衛艦5隻の内訳は分かるものの、船団の方は数が12隻であることの他は撃沈された9隻の内訳が分るのみである。船団12隻の内訳全部や各船が何番船であったかを知るには「黒龍丸」の海難報告書を見るしかない。「凌風丸」と「第三東洋丸」については「日本郵船戦時船史」でも確認できるので問題ないが、問題は「映海丸」である。この海難報告書において11番船は「日映丸」となっている。「日映丸」という船は実在しないので「日永丸」「日榮丸」「日營丸」「夕映丸」の可能性を探るも何れも該当しない。海外のサイト(Imperial Japanese PageのShinten Maru No.1)では「冬川丸」をこの船団に加えているが、本船は10月24日にサンフェルナンドで戦没しているので本船でもない。駒宮氏が何を根拠に「映海丸」を11番船としたかは不明だが強力曳船すなわち小型砲艦である「映海丸」を被護衛船とするのはちょっと腑に落ちない。ただ、これ以上は資料を見つけられないので今はとりあえず11番船を「映海丸」としておく他はない。
また「黒龍丸」の海難報告書では護衛艦に「鞍埼」と「第二十號驅潜艇」の記載がない代わりに水雷艇1隻と特驅2隻の記載がある。水雷艇に該当船はないので「第二十號驅潜艇」や「鞍埼」を水雷艇や特(設)驅(潜艇?)と勘違いしているものと思われる。隻数が1隻多いのは途中まで護衛した船があった爲だと思われるが詳細は不明である。
【船団名】
「マタ30船団」又は「春風船団」と呼ばれているが「第三東洋丸」の戦時日誌では「K龍丸船団」とされていることも覚えておきたい.
【船団の発航日】
「戦時輸送船団史」では10月20日23:40となっているがこれは「日本郵船戦時船史」の「營口丸」の頁を参照したものと思われる。
因みに各船の海難報告書や第一海上護衛隊の戦時日誌では次のようなっている。
19.10.20 2340:營口丸 19.10.24 2400:大天丸 --- 10.20の誤り? 19.10.21 0000:黒龍丸 19.10.21 0200:第三東洋丸 19.10.22 0000:春風、呉竹 --- 10.21の誤り?「大天丸」の10月24日はその後の文脈から10月20の誤記と思われる。また、「春風」「呉竹」の10月22日というのも船団出港から24時間以上経っていることから10月21日の誤りと思われる。船団は10月20日の深夜23:40から日付を超えた02:00くらいまでに出港したのだと推定され、故に10月20日出港とするものと10月21日出港とするものが混在するのであろう。本サイトでは「徴傭船舶行動概見表」等で特に10月21日(00:00を含む)と明記していない限り10月20日に統一することにする。
【米潜水艦の襲撃】
マタ30船団襲撃に関わった7隻の襲撃状況は以下のとおり。なおTime Zone Iの場合マニラ-高雄間ではJSTと時差はない。"Snook"のみがTime Zone Hを使用していてJSTの-1時間。
Saw Fish Report of 8th War Patrol No.4 4/5命中 10/23 1724(I) N18.58-E118.31 AK(EC) 有馬山丸級8663t(17:28爆発音) No.5 1/5命中 10/23 2321(I) N19.27.30-E119.21.45 極東丸級油槽船10,052t Icefish Report of War Patrol No.1 No.1 0/4命中 10/24 0052(I) N19.31-E118.10 No.2 1/2命中 10/24 0053(I) N19.31-E118.10 one large ship撃沈 Drum Report of 11th War Patrol No.1 0/4命中 10/24 0203(I) N19.52-E118.25 No.2 3/4命中 10/24 0757(I) N20.27-E118.31 靖川丸級貨物船撃沈 Snook Report of 7th War Patrol No.1 2/5命中 10/23 2351(H) N19.44-E118.25 one large AK, 1本煙突 中央部大型構造物 7,500t撃沈 No.2 3/6命中 10/24 0211(H) N20.54.30-E118.19.00 one large AK or medium tanker 7,500t撃沈 No.3 0/4命中 10/24 0216(H) N20.54.30-E118.19.00 No.4 2/5命中 10/24 0459(H) N20.10.00-E118.16.45 one large AK 7,500t, 05:06撃沈 * Attack DataではTime Zoneが(I)となっているがNarrativeからみて(H)の誤り。 Sea Dragon Report of 11th War Patrol No.2 2/4命中 10/24 1055(I) N20.31-E118.32.5 えりい丸に似た船 No.3 3/4命中 10/24 1214(I) N20.33-E118.34 4,000t MFM AK 2分以内に撃沈したのを確認 No.4 2/4命中 10/24 1404(I) N20.31-E118.32.5 4,000t MFM AK Blackfish Report of 9th War Patrol 10/23-24 攻撃なし Shark 撃沈された為Reportなし 10/24 2200 呼びかけに応答なし先週書いたが第一海上護衛隊の戦時日誌は掠れたり潰れたりで良く読めない。「黒龍丸」と「大天丸」の海難報告書、「日本郵船戦時船史」や「第三東洋丸」の戦時日誌、The Official Chronology of the U.S.Navyを参照しながらまとめると次のようになる。
Off.Chronology 第一海上護衛隊 他資料 君川丸 N18.58-E118.31 10/23 1730 N18.58-E118.46 1720 --------------- 第三東洋丸 黒龍丸 N20.27-E118.31 10/24 01-- N19.34-E118.32 0055(N19.23-E118.58)黒龍丸 0115 --------------- 大天丸(1番船) 菊水丸 N19.44-E118.25 10/24 0320 N19.46-E118.30 0305 --------------- 第三東洋丸(2番船) 天晨丸 N19.31-E118.10 10/24 0811 N19.58-E118.33 0600 --------------- 第三東洋丸 信貴山丸 N20.27-E118.31 10/24 0810 N20.09-E118.35 0800 --------------- 第三東洋丸、大天丸(4番船) 大天丸 N20.31-E118.33 10/24 1345 N20.23-E118.44 1100 (N20.12-E119.01) 第三東洋丸、大天丸(5番船) 第一眞盛丸 N20.10-E118.17 10/24 1216 N20.27-E118.44 1200 --------------- 營口丸 營口丸 N20.31-E118.33 10/24 1415 N20.23-E118.37 1405 (N20.35-E118.32) 營口丸 阿里山丸 N20.54-E118.19 10/24 1730 N20.46-E118.18 米潜水艦の攻撃を時系列に並べて日本側の被害船を当てはめていくと次のようになる。 Saw Fish No.4 10/23 1724(I) N18.58-E118.31 10/23 1720 君川丸 Saw Fish No.5 10/23 2321(I) N19.27.30-E119.21.45 Snook No.1 10/23 2351(H) N19.44-E118.25 10/24 0055 黒龍丸 Icefish No.1 10/24 0052(I) N19.31-E118.10 命中せず Icefish No.2 10/24 0053(I) N19.31-E118.10 10/24 0055 黒龍丸 Drum No.1 10/24 0203(I) N19.52-E118.25 命中せず Snook No.2 10/24 0211(H) N20.54.30-E118.19.00 10/24 0305 菊水丸 Snook No.3 10/24 0216(H) N20.54.30-E118.19.00 命中せず Snook No.4 10/24 0459(H) N20.10-E118.16.45 10/24 0600 天晨丸 Shark 10/24 0615(I) Radar Contact one single flighter -- Sea Dragon Drum No.2 10/24 0757(I) N20.27-E118.31 10/24 0800 信貴山丸 Sea Dragon No.2 10/24 1055(I) N20.31-E118.32.5 10/24 1100 大天丸 Sea Dragon No.3 10/24 1214(I) N20.33-E118.34 10/24 1200 第一眞盛丸 Sea Dragon No.4 10/24 1404(I) N20.31-E118.32.5 10/24 1405 營口丸 10/24 1730 阿里山丸 Shark 10/24 1744 N20.46-E118.18 被撃沈【まとめ】
君川丸
10.23 1724(N18.58-E118.31)米潜水艦"Saw Fish"(SS-276)の攻撃により特設運送船「君川丸」被雷
厳密に言えば時刻は1本目の魚雷発射時刻であり、被雷時刻とは数10秒から数分の差があるが他船との整合性をとるため敢えて無視。位置も魚雷発射地点であり被雷場所ではないがこれも無視。以下同じ。
K龍丸
10.24 0051(N19.44-E118.25)米潜水艦"Snook"(SS-279)の攻撃により臨時配當船「K龍丸」被雷
「黒龍丸」の海難報告書では魚雷2本を被っているので、少なくとも1本は"Snook"(SS-279)によるもの。従って"Icefish"(SS-367)ではなく"Snook"(SS-279)を優先。
菊水丸
10/24 0311(N19.54-E118.19)米潜水艦"Snook"(SS-279)の攻撃により陸軍油槽船「菊水丸」被雷
"Snook"のAttack No.1とNo.2,No.3は二時間程度しか経過していないにも関わらず緯度は1度近く離れている。緯度1度は約111kmあり、潜水艦や船団が2時間でこの距離を移動するのは不可能。このことからAttack No.2とNo.3のN20.54はN19.54の誤りと判断。
天晨丸
10/24 0559(N20.10-E118.16)米潜水艦"Snook"(SS-279)の攻撃により陸軍配當船「天晨丸」被雷
信貴山丸
10/24 0757(N20.27-E118.31)米潜水艦"Drum"(SS-228)の攻撃により陸軍配當船「信貴山丸」被雷
大天丸
10/24 1055(N20.31-E118.32)米潜水艦"Sea Dragon"(SS-194)の攻撃により一般徴傭船「大天丸」被雷
第一眞盛丸
10/24 1214(N20.33-E118.34)米潜水艦"Sea Dragon"(SS-194)の攻撃により陸軍徴傭船「第一眞盛丸」被雷
營口丸
10/24 1404(N20.31-E118.32)米潜水艦"Sea Dragon"(SS-194)の攻撃により一般徴傭船「營口丸」被雷
阿里山丸
10/24 1730(N20.46-E118.18)米潜水艦"Shark"(SS-314)の攻撃により臨時配當船「阿里山丸」被雷
Shark
10/24 1744(N20.46-E118.18)驅逐艦「春風」が米潜水艦"Shark"(SS-314)を撃沈
【当サイトと米側の公式記録の対比】 被雷船 SS Action No, 日時 位置 米側公式記録 君川丸 Saw Fish No.4 10/23 1724 N18.58-E118.31 10/23 N18.58-E118.31 Saw Fish 黒龍丸 Snook No.1 10/23 0051 N19.44-E118.25 10/24 N20.27-E118.31 Sea Dragon 菊水丸 Snook No.2 10/24 0211 N19.54.30-E118.19.00 10/23 N19.44-E118.25 Snook 天晨丸 Snook No.4 10/24 0459 N20.10-E118.16.45 10/24 N19.31-E118.10 Icefish 信貴山丸 Drum No.2 10/24 0757 N20.27-E118.31 10/24 N20.27-E118.31 Drum 大天丸 Sea Dragon No.2 10/24 1055 N20.31-E118.32.5 10/24 N20.31-E118.33 Sea Dragon 第一眞盛丸 Sea Dragon No.3 10/24 1214 N20.33-E118.34 10/24 N20.10-E118.17 Snook 營口丸 Sea Dragon No.4 10/24 1404 N20.31-E118.32.5 10/24 N20.31-E118.33 Sea Dragon 阿里山丸 Shark ? 10/24 1730 N20.46-E118.18 10/24 N20.54-E118.19 Snook
次回更新時に上記を各船のページに反映させる予定。
状況変わらず。第一海上護衛隊の戦時日誌は昭和19年10月で足踏み。春風船団と呼ばれたマタ30船団。被害船が多い割に情況が今一つ良く分からない。戦時日誌の記述が掠んでいたり潰れていたりで判読不能な上、「戦時輸送船団史」も、しごくあっさりしか触れていないため。米側資料から深堀りしてみようと思う。
状況変わらず。今、手をつけている第一海上護衛隊の戦時日誌は昭和19年4月まで終わっているがあと1年分残っている。蓬の航泊日誌は昭和14年9月以降全く進んでいない。
手はつけているものの中途半端なので結局4月中は全く更新には至らず。
Abemaと読書に時間を取られすぎているのが原因だが暫くはこの状態が続きそう。
いろいろ手はつけているものの更新には至らず。
戻る日、またもやギックリ腰。 妻と息子だけに運転してもらい、常滑では宿泊のみ。妻にはあきれられる。
三宅酒造からお気に入りの酒三種4本を宅配してもらう。岡山では十八盛、多賀治、嘉美心、新潟の酒だけど荷札酒備前朝日を飲む。52年ぶりに小学校の同級生と飲む。
いろいろ手はつけているものの更新には至らず。来週からは帰省するので次回更新は4月半ば以降になりそう。
ノーパソのバッテリーが寿命みたい。Windows10のサポートも終わるしどうしようか。
興津の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。首里丸、大邦丸も更新。明島丸を護衛したのは全区間ではなく途中から佐世保までと思われる。
第一號掃海艇、第一鶚丸、東郷丸について緯度経度と地名表記が一致していないというご指摘を受けた。備忘の為に調査結果を少しだけ書いておく。
「太平洋戦争特設艦艇史」P.31 東郷丸
「昭和二十年四月十五日岩手県山田湾発、金華山向け出港間もなく湾口魹ケ崎南東二五粁附近において被雷沈没」
同 P.41 第一鶚丸
「昭和二十年四月十五日東郷丸を護衛し山田湾を出発、金華山方面に向け南下する予定であったが湾口の魹ケ崎附近で待伏せていた敵潜より雷撃をうけ沈没。沈没位置魹崎一四三度二五粁附近。」
日米の公的記録(日本側は女川防備隊の戦時日誌、米側は潜水艦Parche(SS-384)の5th War Patrol Report)を時系列で追っていくとこうなる。
04.10 1200 Parcheの位置:N39.17-E144.22 04.10 1445 東郷丸が魹崎の143度14浬(25.9km)にて対潜戦闘 04.10 2100 東郷丸が以降音信普通となる 04.11 0529 N38.53-E142.05 ParcheがSmall AKに対してGun Attack (No.1) 04.11 0745 第一鶚丸から指揮下の船艇に対し掃蕩区域の指示か発せられる 04.12 1930 第一鶚丸が以降音信不通となる 04.13 1100 N38.36-E141.41 ParcheがSteam Trawlerに対してGun Attack (No.2)
「4月15日に第一鶚丸が東郷丸を護衛して山田湾を発した」という記録はないし、この日Parcheはすでに現場海域を離脱しており従って戦闘もしていない。
「魹ケ崎南東二五粁附近」というのは4月10日1445に東郷丸が対潜掃蕩をしていた場所であり東郷丸や第一鶚丸が撃沈された場所ではない。
両船とも雷撃ではなくParcheの5インチ砲や40mm機銃の銃砲撃により撃沈されている。
そういうことで「太平洋戦争特設艦艇史」の記述は完全に誤りであると判断し地名表記を削除、喪失原因は雷撃から銃砲撃に訂正。Parche(SS-384)のWar Patrol Reportから戦闘状況を簡単に追記。
鳴海の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。
居酒屋新幹線で紹介されてた「亀齢」の酒瓶を飾ってた蕎麦屋に入ったが実際「亀齢」は置いてなく、詐欺じゃんと思ったが代わりに飲んだ「鍋島」の純米吟醸もなかなか良かったので許してあげよう。
久々にまた血尿。安い赤ワインのせいかも。
舞子の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。
白馬山丸の図面情報に戦後の船が混ざっているとのご指摘を受け訂正。
力行丸、第二小倉丸を襲撃した米潜の艦名をご教示いただいたので追記、其の他もろもろも追記。
須磨の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。
最近、船以外の読書にハマっていて、なかなかこちらに手が回らない。サラリーマン時代の反動か?次からつぎに興味のある本が現れ、20%以上の値引きを狙うも預金の目減りが半端ない。
多々良の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。
橋立の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。うゑいるす丸、ころんびあ丸、ねいぷる丸の船歴も修正。
宇治の行動調書(砲艦交戦記録)を組み込み。
最近ABEMAにハマっていて、なかなかこちらに手が回らない。
とりあえず一年以上放置していた駆逐艦「蓬」の航泊日誌の調査を再開しているが、蓬自体に動きはないので。。
大東亞戦争開戦前に除籍された一等驅逐艦を1頁目に追加。これにて一等驅逐艦の艦歴の骨格は完了。さて次は何をするか?
丁型駆逐艦おわり。一等驅逐艦9頁目完成。二等駆逐艦と雑役船になった三等駆逐艦に役務を追加。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
一等驅逐艦8頁目完成。
<お詫び>公開中のβ版にはここで書いている修正が必ずしも反映されていないことがあります。反映されていない部分は年初の更新で全データを入れ替えた時に修正されます。