安導券を付与された船

安導券を付与された船について

戦争状態にあっても航行の安全が保証された船がありました。一つは言うまでもなく国際条約に基づく病院船で、もう一つは安導券を付与された船(Vessels furnished with a safe-conduct or a license)です。大東亞戰争中に安導券を付与された船には交換船と救恤品輸送船(以下救恤船と略称)がありました。交換船というのは開戦後に敵地にとり残された外交官や民間人をお互いに交換し 本国へ還送するのに用いられる船で、救恤船は敵国から依頼を受け捕虜へ慰問品を届ける船を指します。これらの船を緑十字船と書いているサイトが多いのですが下の写真でお分かりのように船体に描かれている標識は白十字です。
大東亜戦争中、日米交換船が二回(第一次:浅間丸・Conte Verde、第二次:帝亞丸)、日英交換船が一回(鎌倉丸、龍田丸)仕立てられました。また、救恤船は三回(白山丸・星丸・阿波丸)仕立てられました。これらは病院船とは異なり、相互の政府の合意に基づき一航海毎に仕立てられ、航海の予定もあらかじめ定められておりました。因みに連合国側が仕立てた日米交換船は第一次、第二次ともGripsholm、日英交換船はEl Nil、City of Paris、City of Canterburyでした。なおConte Verdeはイタリア船、帝亞丸はフランス船を傭船したものです。

交換船・救恤船の諸元

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交換船・救恤船の船歴

下の各船の画像をクリックして下さい。

淺間丸

コンテ・ベルデ

鎌倉丸

龍田丸

帝亞丸

白山丸

星丸

阿波丸

 

写真出典:

  1. 淺間丸、鎌倉丸、龍田丸、帝亞丸:「別冊1億人の昭和史 昭和船舶史」(毎日新聞社)
  2. コンテ・ベルデ:雑誌「世界の艦船」2007年2月号(海人社)
  3. 白山丸:「船舶史稿」第二十巻 (船舶部会「横浜」)
  4. 星丸:雑誌「海と空増刊 世界商船要覧」 (海と空社)
  5. 阿波丸:「阿波丸撃沈」(成山堂書店) ロジャー・ディングマン

 

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