攻撃艇攻撃艇について陸軍の攻撃艇には潜航攻撃艇、半潜攻撃艇、高速攻撃艇、肉薄攻撃艇などがあります。その中で量産されたのは肉薄攻撃艇で約3000隻が作られました。潜航攻撃艇の略称は○の中に「せ」、肉薄攻撃艇の略称は○の中に「に」と書きますが、パソコンの標準文字セットにありませんのでここでは単に「せ」「に」と記すことをご了承ください。昭和20年5月現在の区分は「戦闘用舟艇」で主体類別は「一類」、取扱区分は「極秘」でした。(JACAR: C01007870400) 潜航攻撃艇(せ艇)特殊燃料(過酸化水素、水酸化ヒドラジン及び)を用いて航走する一人乗り潜水艇で魚雷用機関及び自動深度器を有しました。 全長12m、排水量8.8t、計画速力(水上)16kt、水中20kt、簡易魚雷2本。 試作艇1隻のみ製作。 半潜攻撃艇(はせ艇)(連絡艇丁一型)昭和19年9月発案、半潜航状態にて隠密裏に敵船に近接して魚雷または爆雷攻撃を行う小型舟艇です。 昭和19年12月下旬野戦船舶廠にて試作艇第1艇完成、昭和20年1月6日〜12日迄愛媛県三机村附近で性能試験。 全長7.000m、幅1.200m、深さ1.200m、機関60馬力発動機、速力約8kt、爆雷2個または簡易魚雷2本。 昭和20年4月22日野戦船舶廠にて試作第3艇完成。昭和20年4月23日〜25日迄広島湾で性能試験。 全長10.000m、幅1.500m、深さ1.500m、機関60馬力ディーゼル、速力(半潜状態魚雷あり)7kt。 高速攻撃艇(連絡艇丁二型)相当の波浪中を高速力にて敵船に近接して爆雷攻撃を行う小型舟艇です。 全長7.000m、幅3.000m、深さ1.600m、機関97式650馬力航空空冷発動機、速力40kt。 四式肉薄攻撃艇(㋹艇・に艇)(連絡艇甲型)昭和19年7月10日甲一型の試作が完了、同年7月25日甲三型、甲四型、甲六型の試作も完了しました。同年7月29日甲一型、甲三型、甲四型、野戦船舶本廠製、海軍C金物(○の中に「四」と書くのが正式)との比較試験を実施し、その結果、とりあえず連絡艇の整備は甲三型に転換することになりました。この甲三型というのは爆薬前装式のものです。しかし、同年8月28日宇品において実施した実爆試験の結果、爆薬前装式は廃し、爆雷型式によるものとされ、今後の整備は甲一型によるものと方針転換されました。甲一型の爆雷は人力投下又は艇の衝突により落下します。連絡艇甲一型は艇と運搬具により構成され、運搬具乙を各艇毎に運搬具甲を数艇毎に装備することとされました。運搬具甲は自動車用車軸と車輪を取り付けた木製架で、運搬具乙は木製ころを使用する木製架でした。 甲型は四式肉薄攻撃艇として制式が定められ昭和19年8月から12月の第1次整備で甲一型約1000隻、昭和20年から終戦までの第2次整備で甲四型約2000隻が日本造船ほか8工場で作られました。
甲一型: 最初の試作艇。 V型滑走艇、全長5.600m、全幅1.800m、深さ0.732m、自重1.000t、速力23kt、乗員1名。 機関:日産180型自動車用機関1基又はトヨタB型自動車用機関6気筒直列水冷式70〜80馬力。 ただし、各種回収機関「フォード」「シボレー」「プリムス」の場合もある。 爆雷投下機2基。 附属兵器:搭乗者用救助具、120kg爆雷2個、艤装網 K型: 全長5.60m、幅1.70m、深さ?、自重?、満載排水量約1.20t 機関:日産180型自動車機関馬力増大改造「ロ」機関80馬力 日本造船が試作、昭和19年9月試作艇完成。公試最大速力26.8Kt。 甲三型: 爆薬を直接船首部の内部に装備したもの。 V型滑走艇、全長5.200m、全幅1.700m、深さ0.760m、自重0.950t、速力20.2kt、乗員1名。 機関:日産180型自動車用機関1基。 爆雷投下機2基。 甲四型: 試作甲一型の欠点を除き速力向上を図ったもの。 V型滑走艇、全長5.600m、全幅1.800m、深さ0.773m、自重1.000t、速力23.0kt、乗員1名。 機関:日産180型自動車用機関1基。 爆雷投下機2基。 甲六型: 特に速力向上を図ったもの。 段付滑走艇、全長5.000m、全幅1.600m、深さ0.670m、自重0.920t、速力?kt、乗員1名。 機関:日産180型自動車用機関1基。 爆雷投下機1基。 甲七型: 甲三型を更に高速化したもの。帝國造船株式會社にて設計 甲八型: 甲三型を更に高速化したもの。第十陸軍技術研究所にて設計 五式肉薄攻撃艇(㋹艇)(連絡艇戊型)戊一型: 川崎車輛株式會社明石工場にて3隻、株式會社播磨造船所で1隻を試作(ロケット加速艇) 戊二型: 第十陸軍技術研究所が設計、三菱重工業株式會社長崎造船所にて5隻を試作予定(ロケット加速艇) 戊三型: 試作のみ(ロケット推進艇) 戊四型: 試作のみ(浮翼型) 戊五型: 第十陸軍技術研究所が設計、三菱重工業株式會社長崎造船所にて試作予定 雷撃艇・砲撃艇(連絡艇己型)連絡艇己一型は驅逐艇が大きさで輸送に難点があり、機関の補給に制限があるので、この代用として計画されました。昭和20年4月試作艇の試験を完了しましたが量産はされませんでした。
己一型(雷撃艇): 耐水ベニヤ製、長7m、満載排水量約2.9t、機関(自動車用ガソリン機関)3基3軸、 速力27kt、簡易魚雷2本搭載、木南車輛製造株式會社造船工場で1隻試作 己二型(砲撃艇): 耐水ベニヤ製、長7m、満載排水量約2.9t、機関(自動車用ガソリン機関)3基3軸、 速力27kt、四連装ロケット砲2門搭載、木南車輛製造株式會社造船工場で1隻試作 その他の連絡艇乙型: 折畳式連絡艇。設計のみ 指揮艇: 試作のみ(け号装置附連絡艇)。 *け号装置とは「サーモカップルの原理を利用し敵艦船の煙突から出る熱線を補足して艇をその方向に自動的に誘導する」装置です。(「旧陸軍特殊船舶記録」内山鉄男 1948より)
出典: 1. 昭和19年第十陸軍技術研究所研究報告(JACAR: A03032287300-53画像目から) 2. 「昭和造船史第1巻」(原書房) 日本造船学会編(P.766) 3. 「陸軍期待の秘密兵器「連絡艇」の全貌」 戦前船舶第3・4号所載 国本康文 4. 十技研報第5號:レ艇第一回試験報告
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