小輸送艇

小輸送艇について

陸軍の小輸送艇とは軍需資材の輸送に従事する戦車用の150馬力ディーゼルを装備した木造船です。昭和18年に長さ20ｍの木造船を建造（一型）、これを暁型と称しました。次いで、昭和19年に長さを24ｍとし、重量物を船首から出し入れできるものを建造（二型）、これを星型と称しました。昭和20年には星型を改造し耐波性を向上させたもの（三型）も試作されました。

昭和20年5月現在の区分は「輸送用舟艇」で主体類別は「一類」、取扱区分は「普通」でした。(JACAR: C01007870400)

小輸送艇二型の諸元

全長23.90m、船体中央部における幅4.0m、船体中心線における深さ2.87m、総噸数約53t、満載時平均吃水1.78m、積載量30t、巡航速力（常備状態）10.36kt、「チケ」車機関（舶用水冷Ｖ型12気筒ディーゼル発動機三型）1基1軸、出力150馬力。

試製小輸送艇三型の諸元

全長22.50m、幅4.00m、深さ2.40m、満載排水量79.62t、満載時平均吃水1.760m、積載量30t、巡航速力9.7kt、最大速力10.7kt、「チケ」車機関（舶用水冷Ｖ型12気筒ディーゼル発動機三型）1基1軸、出力150馬力、高射機関銃１挺、打上筒４筒、自動砲１門、船艇無線機甲１式、車輛無線機丙１式。（下の図面によると全長はもっと長いようです。）

(小輸送艇三型)

出典：

1.     昭和19年第十陸軍技術研究所研究報告(JACAR: A03032287300-113画像目から)

2.     十技研要第16號小輸送艇三型試験要報(JACAR: C12121950500)

3.     「昭和造船史第1巻」(原書房) 日本造船学会編(P.756)

4.     雑誌「世界の艦船」海人社 1996年2月号「日本の陸軍船艇」瀬名尭彦

5.  「小輸送艇三型一般構造図」(JACAR: C14020266200)